刺し子の花ふきん ②
刺し子の花ふきん ②_e0162117_9173779.jpg
刺し子は、布を重ね合わせて木綿糸で補強し、保温性を高めたもので、東北の厳しい気候風土を生き抜くため生み出され、数百年前から今に受け継がれています。
粘り強く逞しく生きた東北の女性が考案した刺し子の技には、日本人が培ってきた大切な知恵や心、精神が宿っています。
もしかしたら、針を刺している時間だけは無心になれる、という苦い日常からの現実逃避のようなものもあったのかもしれません。
ヨーロッパでは上流階級の女性の嗜みとして刺繍の技を習得していたのに対し、日本では貧しさゆえの布の補強として、また寒さをしのぐ手段だった刺し子の文化。
真逆な階級で生まれたそれぞれの文化がこうして今に伝えられているのは
糸を刺した布には、古今東西、富んでいても貧しくても変わらない普遍的な美しさが宿るからなのだと思います。
 
それにしても、一枚の白い布と糸だけで、こんなふうに美しいふきんになるなんて。
この文様にはそれぞれ名前がついていて、オレンジ色の糸のほうが十字花刺し、
赤い糸のほうが亀甲花刺しというのだそうです。
糸が作り出す浮き上げってくる模様に、花や鳥や植物を思い重ねたようです。
日本女性の知恵と美意識を誇りに思います。
こんなに素敵な技法があることを多くの方々に知っていただきたいと思いました。
本当に根気の要る手仕事を現代でも刺している女性がいることも嬉しく感じます。
この花ふきん、今のところ実用というよりは観賞用になっています。
仕上げるまでの製作者の方の労力を思うともったいなくて、使えません。
でもいつかはふきんとして活躍してもらおうと思っています。


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by bull_chihoko | 2012-02-27 09:22 | 愛しい物・コレクション
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