アバターに思うこと
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人間の目は本能的に本物を見極めようとする力が働くとわたしは思います。
本物に感動し、偽物には落胆します。
今回の『アバター』と13年前の『タイタニック』
共通していることはわたしたちの現在地点から遥か彼方遠くでのストーリーだということ。
『タイタニック』では1912年、新天地のアメリカに夢を抱く貧しい画家志望の
青年ジャックの目を通して処女航海で沈没する豪華客船タイタニック号へ観客を誘い、
『アバター』では22世紀、下半身不随の元海兵隊員のジェイクが衛星パンドラを植民地化
するためにアバターという肉体でナヴィ族に入り込んでいきます。
ジェームス・キャメロンの凄いところはそこから先のリアリズムです。
豪華客船内部、階段の手すりの彫刻、テーブルに並ぶ銀食器や小物、当時の衣装
何から何まで本物にこだわり驚異の造り込みでタイタニック号を再現し、
また地球から5光年のパンドラでは魅惑的で幻想美に満ちた生命体が生息し全てが繋がりあって存在していて、皮膚・呼吸・質感何もかも本物以上にリアリズムを放っています。
自分との距離的なギャップが大きければ大きいほど、未体験だった本物に心奪われます。
その場所でヒロインにめぐり会い、惹かれあって強い絆で結ばれていくのもつかの間、
衝撃的なスペクタクルへと展開していきます。

アバターでは、全てにおいて超スペシャリストを結集させ、想像力を膨らませ
理想郷パンドラを創造しています。そこは神の領域と言ってもいいかもしれません。
様々な仕掛けがちりばめられていて何かに興味を持ったとしても必ず答えがあるように
人を夢中にさせる視覚的可能性が豊富に盛り込まれています。
例えば、ナヴィ続の装飾、ヘアスタイル、思想、言語、身体能力が魅力的です。
エネルギーのネットワーク、ホームツリー、そこで生きることの厳しさ、残酷さ。
どれをとっても深意があって理解しようとすればするほど奥深い答えが返ってきます。
遠く彼方でのラブストーリーのはずが、自分にとって最愛の人のことに思えてきます。

今のしぼんでいる現状の世の中で全世界が注目し、喝采をおくっている『アバター』
キャメロン監督は滅び行く地球への警鐘を鳴らしていますが、
この映画が歴代興行収入第一位になったという現実をわたしは嬉しく受け止めています。
キャメロン監督の感性が素晴らしいことはもちろんですが、この映画を一位に押し上げた
全世界の観客の方々の感受性もまた評価されるべきです。
そこに地球がいつまでも青くありつづけて欲しいという望みをつなげたいと思います。
もしかしたらアバターの青い世界は、わたしたちの心の“地球色”なのかもしれません。
by bull_chihoko | 2010-01-28 01:37 | 映画の感想 | Comments(0)
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