僕と妻の1778の物語


今日『僕と妻の1778の物語』を観てきました。この映画の感想を書きます。
ネタバレがありますので、これから映画をご覧になるご予定の方はご了承ください。


もし愛する人の命が1年しかないと宣告されたら···
自分に何ができるのでしょう。いったい何を願うのでしょう。
誰もがいつかは直面する死、この映画は余命1年の癌宣告をされた奥さまと
SF作家眉村卓さんの夫婦愛を描いた実話です。
余命わずかの妻に楽しい話を毎日一つ作って、笑ってもらおう。
それで愛する人の命が少しでも長く続くのなら···と。

この映画を鑑賞されて、たぶんどなたも着目されないことだと思いますが、
わたしはこの物語のキーは「窓」にあるように感じました。
空想の世界をさまようSF作家にとって窓は実生活との境目の存在のようでした。
病院の高い縦長の窓でさえ、まるで聖堂のようで教会を想わせ
そこでの出来事は優しく何かに見守られているかのようでした。
それは神さまではなく、愛情のようなもの···。
空間を演出するうえで窓はとても重要だと思います。
( わたしの自宅は南向きに小窓を7つシンメトリーにつけていて
そこから部屋に注がれる光に聖なる力を感じることがあります。)
病院の消灯後、細く長い窓からの月明かりで もがきながらも真っ直ぐな心で
書き綴っている姿は空高く願いが昇華していくようでとても印象的でした。
普通は無機質な病院の窓も、教会のような神聖なニュアンスを持って描かれていて
空間演出の重要性を気づかせてくれた監督の美的感覚に敬意を表したいと思います。
この映画は自分·窓·空想の世界·その空間をつないで綴った愛のメッセージです。

ただ、ちょっと残念に思ったことがあります。
それはタイトル。『 僕と···』妻のために書いた物語なら
そこは『 妻と···』のほうが良かったのではないかと感じました。
結局は自分のために書いたようで惜しいと思いました。
by bull_chihoko | 2011-02-13 15:16 | 映画の感想 | Comments(0)
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