岩手県に原発を作らせなかった女性
岩手県に原発を作らせなかった女性_e0162117_1982218.jpgドキュメンタリー映画「1000年後の未来へ~3.11保健師たちの証言~」を本日鑑賞させていただきました。
東日本大震災の被災地で活動した保健師の方々へのインタビューなどの記録映像で、岩手県北上市在住の双子の映画プロデューサー都鳥拓也さん、伸也さんが製作。
 撮影は2011年9月、NPO法人公衆衛生看護研究所(東京)の依頼で開始され、12年4月まで岩手県大槌町や石巻市、南相馬市など3県の被災地を巡り、保健師約80人の証言や活動を140時間以上記録したそうです。

岩手県に原発を作らせなかった女性_e0162117_19111535.jpg映画を鑑賞し、保険師の方々の奮闘ぶりを初めて知るきっかけになりましたが、わたしにとってもっと大きな収穫がありました。
東北の太平洋側で原発がない県は岩手県だけで、その理由は原発を作らせまいと奮闘された女性がいらしたからなのでした。

わたしも先月も訪れた岩手県田野畑村。ここで1981年に繰り広げられた原発建設計画反対運動の中心だった保健師岩見ヒサさんの存在に驚きました。
岩見ヒサさんは、昭和30年代に「原発誘致」の話が持ち上がったときに、「原発反対」を説く広瀬隆氏の本を読んでいて、愛すべき郷土に「危険な原発」は不要と猛反対されたとのことでした。
当時、村の予算が5億円で、35億円のお金が降って湧いてくるとの電力会社等の甘言があったようで、男性陣はもろ手を挙げて賛成されたようです。
岩見さんは先ず、婦人部で原発の危険性についての勉強会を開き、「原子力発電とはなにか」(広瀬隆著)の本を数十冊無償配布して、婦人部で原発反対の意思を固めたそうです。
そして、男性陣にも広瀬氏の本を数十冊無償配布して原発の危険性や、一度事故を起こしてしまうと取り返しがつかないことなどをじっくりと語り、農業・漁業・酪農の方々の賛同を得られて、結局岩手には原発が作られなかったということです。
一人の女性の熱意で岩手県に原発が作られなかったという事実は凄い衝撃でした。
現在、岩見ヒサさんは97歳というご高齢でもお元気に過ごされているとのことです。
昨年は岩見さんの家である宝福寺でこの映画の上映会が行われ、地元の方々に感謝されたということです。
岩見ヒサさんの著書「吾が住み処ここより外になし」、信念を貫いて生きる強さ。
この方を知ることができて本当に有り難く思います。

岩手県に原発を作らせなかった女性_e0162117_19173157.jpgちょうど一年前の今日8/9は大館は記録的な大雨被害に見舞われました。
本日の無料上映会は大館市早口の観音寺さんで行われました。
大切な郷土、災害への備え、それを子々孫々へどう伝えていかなければいけないのか、いろいろと考えさせられました。
自分や大切な人を守るには、やはり知恵が必要だということ。
岩見ヒサさんに学ぶように、愛は本当に多くの命を助けるものだと感じました。
本日の上映に心より感謝いたします。
by bull_chihoko | 2014-08-09 19:18 | 映画の感想
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