山ぶどうの籠
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先月、仙台市内の百貨店で「日本の伝統 職人の技展」を訪れて、
とても興味を惹かれたのが、山ぶどうの籠です。
なんでも、山ぶどうの籠は使うだけではなく、育てる楽しみがあるそうで、
使えば使うほど艶が出て柔かくなり、使う人に馴染むのだとか。
そして職人さんが何十年も使っているというセカンドバッグを見せていただいて、
その美しい色艶と質感に驚いてしまいました。
欲しいと思いましたが、そのお値段にビックリ!
籠一つが10万円前後のお値段が付いていたのです。どうして、そんなにも高価なのかといいますと、質の良い山葡萄は険しい東北の山中で危険な場所に生えていること、年々、希少になる材料だということ、職人さんが激減していること、採集できる期間が半月ほどしかないということなどが理由です。 
生産者が命がけで採集した、東北の厳しい風雪に耐え抜いた山ぶどうの蔓を素材としているので、水にも、乾燥にも強く、雨に濡れても乾かすだけで元に戻ります。
しかも、この山ぶどうの蔓一本で、車も引っ張ることができるほど丈夫だそうです。
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そんなに高価な籠は買うのは無理だとあきらめて帰りましたが、
そういえば実家の母がたくさん籠を持っていたのを思い出しました。
確か、山ぶどうの籠もあったような記憶が・・・。
そして、母に話してみたら「持って行って使えば籠も喜ぶから」と、
快く3つも譲ってくれました。( 上の写真の手前2つが山ぶどうと別の蔓との組み合わせ、奥がアケビの蔓で編んだ籠です。)
実は、この籠は全部、わたしの伯父のお手製です。
何十年も前から趣味で始めた籠作りが、プロ顔負けほどの技術になって
百貨店で個展まで開催したことがあるレベルなのです。
確かに販売されている籠よりも手が込んでいてガツンと魂が宿っているよう。
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いろいろ調べてわかったのですが、山ぶどうのバッグはセレブの間で大人気で、
「日本のエルメス」とまで言われ、「一つは持ちたい憧れの籠」だそうです。 
しかも、山ぶどうは、50年以上使える、一生物の素材です。
普通のバッグは年々劣化して価値が下がるのに対し、山ぶどうの籠やバッグは使い込んだ物ほど年々価値が高くなり、50年使った籠は50万円ものお値段が付くそうです。
中でも極上の素材は北東北で採集された山ぶどうとされ、近年中国産も出回っていますが、まるっきり質が違うため、耐久性も色艶も期待できないそうです。
いつか山ぶどうだけで作られた籠を持ちたいと夢見つつ・・・
母から譲られたこの山ぶどうの籠を可愛がって、数年後、10年後、20年後、
素敵な輝きを放っている籠に育てたいと思っています。
年をとるごとに魅力を増す山ぶどうの籠、人もそうなれたらいいですね・・・。

山ぶどうの籠_e0162117_13371284.jpg画像はお借りしたものですが、100年以上前に作られた山菜採り用の籠です。
使い込むとこんな感じに艶と質感のある籠に変化していくそうです。
本当にドキッとするほど艶っぽいです。

by bull_chihoko | 2012-03-15 13:12 | 山ぶどうのかごバッグetc
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