叉鬼山刀(マタギナガサ)
叉鬼山刀(マタギナガサ)_e0162117_1917155.jpg
阿仁マタギの狩猟道具、山刀(ナガサ)をご存知でしょうか。
大きいもので三十センチ近く。伐る、裂く、突き刺す等あらゆる場面に対応できる究極のサバイバルナイフです。命を張って山に入るマタギの魂が宿っています。
叉鬼山刀(マタギナガサ)_e0162117_1865252.jpg
先日、森吉町でマタギ山刀を造られている、西根鍛冶店さんを訪れました。
作業場におじゃましてお仕事を拝見させていただきました。
赤く熱した鉄と鋼を叩いてはのばし、鍛錬していく職人技の世界。鍛造師 西根登氏は、現在では先代からの伝統の製法で鍛え上げることのできる唯一人の叉鬼山刀職人さんです。
叉鬼山刀(マタギナガサ)_e0162117_1871346.jpg
仕上げの磨き作業です。この鍛冶場にある道具や機械類の全てが西根登氏の手作りなのだそうです。作業場には全国からたくさんの研ぎの注文が来ていました。
これから山の季節になるので、急に忙しくなってきているとのことでした。
叉鬼山刀(マタギナガサ)_e0162117_187262.jpg
こちらは先代の作られたフクロ山刀。柄は筒状になっていて木の枝を差し込むと長刀になる優れモノです。何十年経過しても研ぐと切れ味が蘇るのも山刀の魅力です。
今はマタギの方ばかりではなく、職人技を好む拘りのアウトドア派のニーズがあるそうで、山菜採り・キャンプなどの道具としてファンが多くなってきているそうです。
わたしも実際に山刀を手にしてみましたら、刃と柄の重さの比重が絶妙で、余分な力を必要とせずに切れる素晴らしい刃物でした。
叉鬼山刀(マタギナガサ)_e0162117_1873921.jpg
店主の西根登氏は平成18年、秋田県優良技能者として表彰されています。
今回はその後継者の早人さんにご案内いただきました。
古来よりのマタギ文化を今に伝え、そしてまた受け継がれていく伝統職人の技がここ西根鍛冶店さんにありました。


YouTubeで3代目西根正剛氏のフクロナガサを造る過程を追った貴重な映像ご覧になれます。高解像度版です。是­非ご覧ください。

by bull_chihoko | 2013-04-07 19:31 | ダイアリー
<< 1/100の世界 早春の岩木山を背景に >>